悪質な暴言からスタッフの心を守り,“冤罪”を減らすために採用されたのはAIの合議制だった[CEDEC 2025] ライター:箭本進一 オンラインゲームでは,しばしば悪質なプレイヤーによる暴言(不適切投稿)が問題となる。単純にNGワードをフィルタリングするだけでは,問題のない投稿をNGとする“冤罪”も起こり,これをチェックし続けるスタッフの心も病んでいく。 開発者向けカンファレンス CEDEC 2025では,AIに自動で暴言を摘発させる取り組みに関する講演「『使える!』不適切投稿自動摘発AIモデルを作る - トレーニングデータをどう作成するか」が行われた。 なお,講演で取り上げている事例は,セガに所属する登壇者の経験から再構成されたもので,同社のタイトルとは一切関係ないとのことだ。 左から,村上宰和氏(セガ 技術本部 開発技術部 アドバンストテックスペシャリスト),横島太志氏(セガ コーポレ
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のスクラビルドは開発時に12万通りをチェック。「ムリでは?」の空気を分解する仕事術【CEDEC2024】 国内最大規模のゲーム業界カンファレンス「CEDEC2024」が、2024年8月21日(水)から8月23日(金)までの日程で開催されました。 初日の8月22日(木)には、任天堂 企画制作部の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のチームから、ディレクターの藤林 秀麿氏とゲーム開発インフラ担当の廣瀬 賢一氏が登壇。「『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のスクラビルドができるまで ~準備のために準備する~」と題した講演を行いました。 主人公・リンクが使う武器などに素材をくっつけられる能力「スクラビルド」は、その組み合わせの数が膨大となり、開発には困難を伴います。 その実現過程を通じて、問題解決の方法やチームとのコミュ
「風来のシレン」シリーズに実装された,ローグライクの先入観を乗り越えるコミュニティ機能の柔軟な発想とは?[CEDEC+KYUSHU 2024] ライター:箭本進一 「風来のシレン」シリーズで,友達と助け合う「風来救助」や17年前にゲーム配信を実現した「LIVE機能」,そして最新作の「パラレルプレイ」など,今ほどにネットが発達していなかった時代から,その歴史はプレイヤー同士をつなぐコミュニティの歴史でもあった。 こうした機能について,スパイク・チュンソフトの篠崎秀行氏による講演「『不思議のダンジョン 風来のシレン』におけるコミュニティ機能とその変遷」が開発者向けカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2024」で行われた。本稿では,その内容をお届けしよう。 「風来救助」から始まった「風来のシレン」シリーズのコミュニティ機能 「風来のシレン」は1995年から展開されているローグライクのシリー
ゲーム会社の業務効率化に生成AIは役立つ? スクウェア・エニックス社内での取り組みとは[CEDEC+KYUSHU 2024] ライター:高橋祐介 2024年11月23日,福岡県の九州産業大学で開催されたコンピュータエンタテインメント開発者向けのカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2024」から,スクウェア・エニックス社内における生成AIの活用事例が紹介された講演をレポートする。発表を行ったのは,同社のAIプログラマーの遠藤輝人氏と,AIリサーチャーの森友 亮氏だ。 スクウェア・エニックスでは,生成AIを開発支援に活用していくための技術検証や,社内向けワークショップおよび勉強会,AI技術のキャッチアップと社内共有などを目的とした「AI&エンジン開発ディビジョン」を2024年4月に発足し,生成AIの活用に取り組んでいるという。 そんな取り組みの一つが「ひすいちゃん」と名付けられた多機能チ
■「約6万ポリゴン」で構成されるアイドルたち。「みずみずしさ」をキーワードに開発杉村貴之氏は、2006年から3DCGデザイナーとしてさまざまなゲーム開発・リアルタイム映像エンジン開発に携わったとのこと。『学園アイドルマスター』においては3Dモデルディレクション、ゲーム内イベント“初星コミュ”の映像演出を担当する。 見原朋也氏はQualiArtsにて複数のモバイルゲーム開発に携わり、主にパイプライン周りのテクニカルアーティストとして効率化や事故防止に従事しているという。 そして『学園アイドルマスター』は、2024年5月16日よりiOS、Androidにて配信されているスマホ向けゲーム。 プレイヤーがプロデューサーとなってアイドルたちを育成していく『アイドルマスター』シリーズ最新作のシミュレーションゲームとして人気を集めている作品だ。 本題に入り、まず「3Dビジュアルコンセプト/レンダリング概
世界全てを一様の方法で扱う「ボクセル情報」ひとつ目の取り組みは、地形の「ボクセル情報」について。これについて語ったのは、エンバイロメントプログラマーを務めた朝倉淳氏だ。エンバイロメントプログラマーとは、ざっくりと説明すれば、生態系や植生、天候の管理などといった、ゲーム世界全体の挙動をターゲットにしたメカニクスを開発する仕事のことである。今回語られたのは、そうした仕事のうち、「地形の情報をどのように扱うか」という取り組みに関するものだ。 たとえば、本作には平原や溶岩、川や砂漠など様々な地形が登場するが、こうした地形の環境がきちんと納得感のあるものとなるためには、ゲーム内で様々な処理が必要になる。溶岩の近くでは野生の動物が湧き出してこないようにするとか、近くの地形に応じて異なる環境音が鳴るようにするといったことだ。 そのためには、周囲の地形のデータについて、各地点ごとに情報を格納しておく必要が
頼展韜氏プロフィール 會田翔氏プロフィール バンダイナムコ研究所は、バンダイナムコエンターテインメントと協力して配信AIキャラクタープロジェクトを実施しており、「ゴー・ラウンド・ゲーム(ごらんげ)」という企画を進行している。その裏側で、あるいはゲームテキスト素材生成ツールを作る際において、どのようにAIテキスト生成を利用していたか解説が行われた。 ゲーム開発環境においてもAI生成は当たり前に 近年、LLMは目まぐるしい発展をしており、さまざまな領域を含む問題で構成されるベンチマーク「MMLU」において、人間の専門家を超えるスコアを達成しているという。 しかもこれは商用モデルのみならず、MetaのLlamaをはじめとするオープンモデルも性能差が縮まってきているという。ゆえに、ゲーム開発においても応用が効くわけだ。 ゲーム内のテキスト生成という分野においては、 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲ
世界観や設定をきちんと踏まえていない多様性は,コンテンツを不自然なものにしかねない。ゲームにおけるDEI表現の意義と重要性,そして導入する際の留意点[CEDEC 2024] ライター:大陸新秩序 2024年8月22日,ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2024」にて,セッション「『表現』でもグローバルを目指す! DE&Iに関する取り組み」が行われた。 このセッションでは,バンダイナムコオンライン 事業本部 品質保証部 大熊未来氏が,同社のオンラインゲームプロジェクトの海外展開を目指すうえで得たDE&I(DEI)表現に関する知見と,それを社内へ浸透させるために行った取り組みを紹介した。 大熊未来氏 なぜDEI表現を重要視するに至ったか セッションの冒頭,大熊氏はバンダイナムコオンラインがなぜDEI表現を重要視するに至ったかについて,「コンテンツの間口を広げ,多種多様なゲームプレイヤ
“説得力のある画作り”はここから生まれる。カメラから学ぶCGの表現手法「アーティストのためのカメラの仕組み講座」レポート[CEDEC 2024] ライター:柳 雄大 2024年8月23日,ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2024」にて行われたセッション「アーティストのためのカメラの仕組み講座」をレポートする。 当セッションは,撮影を行うためのカメラの仕組みを実演とともに解説し,それがCG上での表現とどのような関係にあるかを伝えるという趣旨で行われたもの。CGは現実世界の仕組みを元に作られており,現実世界のカメラの仕組みを知ることは,CGにおけるカメラの仕組みを知ることにつながる……というのが講義の狙いだ。 登壇者は,バンダイナムコスタジオ 技術スタジオ 第1グループ コアテクノロジー部 TEC/TAユニットの山口翔平氏,鈴木雅幸氏,溝口優子氏の3名だ。 セッションでは,「作りた
あの演出はそういう名前だったのか! 「明日から使える!海外文献に頻出するLevel Design用語の紹介」で13用語を学ぼう[CEDEC 2024] ライター:わさび 2024年8月21日,ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2024」で,ゲームデザイナーの知久 温氏によるセッション「明日から使える!海外文献に頻出するLevel Design用語の紹介」が行われた。 本セッションは開発者向けに行われたものではあるが,実例を交えてやさしめに解説されていたため,「あのゲームで使われていた演出はこういう名前だったのか!」と,ゲーマー目線でも楽しめる内容だった。レベルデザイナーの目線で見るゲームの世界をのぞいてみません? 知久氏は,ハクスラSTGや対戦TPSといったジャンルでレベルデザイン業務を経験した実績を持つフリーのゲームデザイナー。副業としてゲーム開発の研究家としても活動している
2024年8月21日~23日にわたって開催の「CEDEC2024」。本稿では22日に行われた講演「『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の世界をつなぐ技術 ~空、地上、地底、そして制作もシームレスに~」のレポートをお届けする。 目次 「ブレワイ」と「ティアキン」ではフィールド読み込みの手法を一新 地底へのダイブをロード無しに実現するための4つの工夫 空島はまさかの「いったん放置」……しかし、ただの放置ではない。「積極的放置」だ! 主人公のリンクが空、地上、地底をシームレスに行き来しながら冒険していく「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」(以下「ティアキン」)。この“縦軸の遊び”も加わった広大なフィールドを「Nintendo Switch上でどうやって実現しているんだ!?」と驚愕しながらプレイした人は多かったのではないだろうか? 案の定、これが凄まじい工夫の上で成り立
日本人の「推し活」と宗教との類似性,そこに潜む課題とは。「消費社会の宗教:ファンダム・カルチャー」聴講レポート[CEDEC 2024] ライター:柳 雄大 2024年8月21日,ゲーム開発者向け会議「CEDEC 2024」にて,関西学院大学神学部・准教授の柳澤田実(やなぎさわ たみ)氏による「消費社会の宗教:ファンダム・カルチャー」と題したセッションが行われた。 これは,「推し活」に代表される日本のファンダム(熱狂的ファンが形成するコミュニティ)カルチャーと宗教との類似性,そこに顕在化する問題点と共に,“ファンダムが「善い」宗教である”ために何が重要であるかを解説するという内容だ。講演者の柳澤氏は1973年生まれで,哲学・キリスト教思想を専門に長年の研究を続け,近年では宗教学の観点から「推し活」と宗教の類似性を指摘した評論が知られている。 一見,ゲーム開発とは直接結びつきにくそうな題材だが
[CEDEC 2023]コーエーテクモ襟川陽一氏へのインタビュー。創業からおよそ半世紀を経て,世界一になる設計図が見えてきた 編集部:荒井陽介 2023年8月23日から25日まで開催されたゲーム開発者会議のCEDEC 2023で,コーエーテクモホールディングス代表取締役社長の襟川陽一氏が,「シブサワ・コウのゲーム開発」と題した講演を行った。 襟川氏の生い立ちや,光栄(当時)を立ち上げることになったきっかけ,ゲーム開発や経営にかける思いなどが語られた講演の模様はすでにレポートしているが,本稿ではその講演の直後に行った襟川氏へインタビューの模様をお届けしよう。短い時間ではあったが,講演で話された事柄について,さらに詳しく聞いているので,講演のレポートを確認しながら読み進めてほしい。 関連記事 [CEDEC 2023]シブサワ・コウの目標は「もっともっと面白いゲームを作りたい」 クリエイターに「
[CEDEC 2023]メタスコア85点を獲得した国産インディーゲームは,いかにして作られたのか。セッション「『メグとばけもの』のつくりかた - 心を揺さぶるゲームの技術」をレポート ライター:大陸新秩序 2023年8月25日,ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2023」にて,セッション「『メグとばけもの』のつくりかた - 心を揺さぶるゲームの技術」が行われた。 本セッションには,インディーゲームデベロッパ Odencatの代表取締役社長 佐藤大悟氏(以下,Daigo氏)が登壇し,同社の「メグとばけもの」(PC / Mac / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / Xbox One)の開発過程を披露した。 「メグとばけもの」とは Daigo氏によると「メグとばけもの」は,HP99999の化け物が少女を守って戦うゲームで,内容は「ありきたりな設定で
[CEDEC 2023]「スト6」の対戦を盛り上げる「自動実況機能」は,どのように作られたのか。システム構築や技術を解説するセッションをレポート 編集部:Junpoco ゲーム開発者会議「CEDEC 2023」の初日となる2023年8月23日,カプコンの薮下剛史氏,岩本卓也氏,アンドリュー・アルフォンソ氏によるセッション「『ストリートファイター6』対戦を熱く盛り上げる自動実況機能の取り組み」が行われた。 「ストリートファイター6」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4)で対戦中に使用できる「自動実況機能」を導入した目的や,システム構築,膨大なセリフ量を処理する工夫などが語られた講演の模様をレポートしよう。 そもそもなぜ,実況機能の導入を企画したのか 最初に薮下氏から,「そもそもなぜ,実況機能をゲームに導入したのか」が語られた。 実況機能導入で目指したところには,
このMiSK財団を保有しているのが、サウジアラビアの皇太子にして首相であるムハンマド・ビン・サルマーン氏(通称MBS氏)です。同財団の子会社であるマンガプロダクションは、永井豪氏によるマンガ『グレンダイザー』を原作とした新作アニメを制作中であるため、こちらの話題で耳にしたことのある方もいるかもしれませんね。 (画像はTVアニメ「グレンダイザーU」ティザーPV/2024年放送開始!より) 佐藤氏の講演では、サウジアラビアにおいてゲームビジネスへの投資を行う主要なプレイヤーとして、このMiSK財団とサウジアラビア政府による公的投資機関「PIF」のふたつが挙げられました。 そしてPIFの取締役会長として活動しているのが、前述したMBS氏なのです。佐藤氏の話では、MiSKとPIFは関係性こそ強いもののあくまでも異なる団体であり、個別の目的意識のもとで活動をしているとのことでしたが、“主要なプレイヤ
[CEDEC 2021]フランス人開発者が,日本のゲーム業界の常識を斬る。「日本で世界規模の競争力のあるゲーム開発は可能なのか?」聴講レポート ライター:箭本進一 日本で活躍するフランス人開発者が,日本ゲーム業界の問題点を指摘するという講演「Is Worldwide Competitive Game Development possible in Japan?/日本で世界規模の競争力のあるゲーム開発は可能なのか?」が,ゲーム開発者向けカンファレンス,CEDEC 2021の2日目となる2021年8月25日に行われた。日本のゲーム業界が「マネジメント」「キャリア」「競争力」の3分野に抱える問題とは,どのようなものなのだろう? 「CEDEC 2021」公式サイト 講演を行うハンサリ・ギオーム氏は,東京に本拠を置くゲーム開発スタジオWizcorpのCEOを務めている。2006年に日本に住み始めて以
本記事では、1日目におこなわれた『龍が如く7 光と闇の行方』(以下、『龍が如く7』)のデバッグに関するセッション“「龍が如くスタジオ」のQAエンジニアリング技術を結集した全自動バグ取りシステム”をリポート。 セッションには、セガのQAエンジニア・阪上直樹氏と、ビルドエンジニアの粉川貴至氏が登壇した。 バグをハグしたくなる自動システム! まずは阪上氏が開発者たちへ向けて、「バグは好きですか?」という質問からセッションがスタート。最初に龍が如くスタジオの各タイトルで、バグを発見した数の推移が公開された。ゲームの規模が大きくなるにつれ、バグも増加傾向にあるという。 そして全自動バグ取りシステムを運用した『龍が如く7』では、なんと25000ものバグが発見されたという。こう見るとネガティブな印象を受けるかもしれないが、バグ発見数が多ければ多いほど、ゲームクオリティがアップするということだ。 バグとい
本記事では、1日目におこなわれた『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、『FFVII リメイク』)のデバッグに関するセッション“"FINAL FANTASY VII REMAKE"における自動QAシステムの構築と運用”をリポート。 本セッションで語られたのは自動QAシステムについて。まずQAとは、Quality Assuranceの略称で、日本語で言えば、品質保証。ゲーム開発においては、ゲームが正しく動作しているか、バグが発生しないか、検証する仕事・部門・チームのことを指す。ゲームファンにとっては、デバッグと言ったほうが伝わりやすいかもしれない。つまり、自動QAシステムとは、自動でデバッグをおこなうシステムということだ。 セッションには、スクウェア・エニックスのAIエンジニアを務める太田健一郎氏が登壇した。 ゲームに最適化した自動QAシステムを目指して ゲームというのは、そもそも
注意点 「CEDEC2020のPERACONが参加人数が多すぎて、提出物の質が低くなった」という問題については、書いてません。あくまで審査員の質についてだけを書いています。*1 記事を書くにあたって、審査員は匿名で書きたかったのですが、 審査員全員の名前が公開されていて、中途半端に匿名にしても無意味なこと。 根本的な問題では、反省はしてなさそう。 審査員にも責任があるべきといっていること。 なので、審査員の実名を出しました。ただ、悪い部分だけをピックアップすることはないように、できるだけ多くのデータを出し、客観的に判断するように心がけました。 はじめに CEDECというゲーム業界のカンファレンスで、PERACONというゲーム企画コンテストがあります。今年からはCESAというゲーム業界最大の団体の人材育成部会で引き取って、毎年人材を育成するという目的で行っていくことになったようですが、これか
2020年9月2日~4日まで、CEDEC公式サイトのオンライン上にて開催された日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンス“CEDEC 2020”。開催3日目となる9月4日、『リングフィット アドベンチャー』を手掛けた任天堂・企画制作部の稲葉翔氏が登壇し、同作向けに開発されたログ収集ツールの制作過程とその活用法を説明した。 稲葉氏たちは、『リングフィット アドベンチャー』の制作に際して、ゲーム制作用のログを大量に呼び出せる“printf(プリントエフ)”に着目。このC言語を用いて収集したデータを効率よく分析することが、ゲーム開発を円滑に進めるためのカギであると考えた。 そこで、“ゲーム開発のためのprintf”をツールとして独自に制作。本作の開発環境の向上に大きく貢献したのだ。今回の講演では、その“ゲーム開発のためのprintf”をどのように制作し、いかに活用してい
2001年にニンテンドウ64用ソフトとしてシリーズ第1作が発売された『どうぶつの森』シリーズ。時代の変化やハードの進化に合わせて開発が重ねられてきたが、コンセプトである“人と人とのコミュニケーション”はずっと変わっていない。本セッションでは、そのシリーズの積み重ねと向き合い、『あつまれ どうぶつの森』(以下、『あつ森』)のアートをどのように考えていったのか解説が行われた。 想像のスキマを残す、語り過ぎないデザイン ひとつめのトピックスは、アートの土台となる考えかたについて、アートディレクターを務めた高橋幸嗣氏が解説。『どうぶつの森』では、釣りをしたり、買い物をしたり、どうぶつたちと話したり、さまざまな“遊び”が存在する。その中で、ユーザーが自分なりに目的を持って遊べるのが特徴のひとつ。また、人によってそれぞれの体験が生まれるのが『どうぶつの森』シリーズの魅力でもあり、それがたくさんあるほど
2020年の今はまさにそうした「適時適法」の時代への過渡期であり、ゲーム実況が行われるプラットフォームも多様化している。 最近の事例では、Microsoftが開発したプラットフォーム「Mixer」などが紹介された。Mixerは業界トップクラスの配信者・Ninjaなどと独占契約を結んだが現在は閉鎖となり、その後Ninjaは配信の拠点をTwitchに戻したという。 中田氏は、独占契約を結んだからといって配信者のファンもそのまま移行するわけではなく、プラットフォームごとの生態系が発生しているのではないかと推測している。 ゲーム実況の一般化 機材や専門知識のハードルが下がり、ゲーム実況の一般化はさらに進んでいるという。権利的な問題がクリアになってきたことによって、表立ってゲーム実況を行えるようになったうえ、法人が実況者のサポートしてくれるケースも出てきた。 一昔前のYouTuberは、メインチャン
2019年9月5日,日本最大のゲーム開発者会議CEDEC 2019の2日めにバンダイナムコ研究所の森口明彦氏から,「芯(シン)・遅延対策2020 〜ヒトのスペックから導かれる安定性重視とフレームレートのベストプラクティス」と題する講演が行われた。 ゲームの体験で大きな問題になりうる「遅延」については,CEDECでもたびたび取り上げられ,森口氏も何度かCEDECで講演を行っている。遅延はプレイヤーの操作から画面に反映されるまでの時間差のことを指すものだが,今回の講演では,プレイヤー側の事情に踏み込んでどの程度の対策が必要とされているのか,どの程度の対策があれば十分なのかなどについて定量的な分析と考察が披露されたので,そのあたりを中心に紹介してみたい。 ゲームの処理サイクル(左)と人間の処理サイクル(右)。それぞれが一定の周期で処理を進めている 人間に対する視覚や聴覚の処理は小脳の運動中枢の一
『ドラゴンクエスト』シリーズを生んだ堀井雄二氏のシナリオ執筆方法と歴代作品ごとの制作テーマが明らかに!【CEDEC+KYUSHU 2018】 朝から立ち見も出るほどのかつてない人気講演に! 2018年12月1日に、福岡市・九州産業大学1号館にて国内最大のコンピュータ エンターテインメント開発者向けカンファレンスCEDECの地方開催版となるCEDEC+KYUSHU 2018が開催された。今年で4回目となる、九州で活躍するゲームクリエイターやゲームクリエイター志望の学生が集うCEDEC+KYUSHU 2018だが、基調講演には『ドラゴンクエスト』シリーズを手掛けてきた堀井雄二氏が登壇。“『ドラゴンクエスト』32年の歩み”と題して、レベルファイブ代表取締役社長/CEO日野晃博氏がモデレーターを務める講演が行われた。 国民的RPG『ドラゴンクエスト』の生みの親である堀井氏初の九州での講演ということ
講演は、金井氏による『デレステ』の紹介からスタート。2015年9月にモバイル向けにリリースされた『デレステ』は、60fpsを担保しつつ、登場する183人のアイドル全員が3Dグラフックスで表現されているのが大きな特徴だ。そんな『デレステ』では、2017年6月に大型アップデートとして、光と影の表現を主体に3Dグラフックスを大幅させる“3Dリッチ”モードが追加された。 また、3Dリッチの追加に合わせて解像度の設定も実装。3Dリッチが追加されるまでは、解像度の上限は横1280となっていたが、“3Dリッチ高品質”に設定することで横2732までの解像度に対応した。金井氏によると、この設定はタブレット端末を意識しており、従来の解像度では、タブレット端末で見た際にドット感を感じてしまい、ユーザーの体験として十分なものを提供できていないという判断から実装に至ったそう。 さらに、タブレットだけを意識するのでは
「昔は誰もAI(人工知能)に関心を示さずふてくされていたが、今はこんなにみんなAIに興味があったのかと痛感している」――ゲーム会社向けにAIのコンサルティングなどを行うモリカトロンの代表・森川幸人さんはこう話す。 森川さんは、プレイステーション向けゲーム「がんばれ森川君2号」(1997年)をはじめ、AIを活用したゲーム開発にいち早く取り組み、ゲームAIの研究開発を20年以上続けてきた。 今でこそ、ゲーム内キャラクターの行動や会話、オープンワールドの地形解析などにAI技術が使われる事例が日本でも増えたが、森川さんが「AIにどっぷりハマっていた」と話す90年代~2000年代は、日本国内のゲーム業界でAIに関心を示す人はほとんどいなかったという。 近年ディープラーニングが注目され、第3次AIブームが到来したことでゲームAI開発にも追い風が吹いている。森川さんが昨年8月に創業したゲームAI専業会社
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